ポストモーテム アンチパターン

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先日、友人と飲んだときにポストモーテムの話になって、その時聞いた愚痴が、「あれ..この状況知っているぞ。どこも同じ感じなんだな」と思いを巡らせました。

その時に聞いた愚痴の要約は次の通りである。

  • 以前にも指摘している内容で障害を発生させている
  • 改善策が、基本的に精神論である(レビューを頑張る。もっときちんとチェックする等。)

この前読んだ記事でも似たような事が書かれていて、共感してしまいました。
「ちゃんと考えられない人」につけるクスリはあるのか。

ポストモーテムとは

ポストモーテムとは端的に言えば振り返りである。
レトロスペクティブという場合もあるようですが、ゲーム業界ではポストモーテムと言うことが多い気がしますし、SRE本でもIncidentの振り返りをポストモーテムと言ってます。

とあるオンラインゲームのProjectでは大規模パッチを1年に1回、大型パッチを3ヶ月、小規模な更新は1ヶ月や都度という頻度でリリースしており、大型パッチのリリースに合わせてポストモーテムを開催する事が多かったです。今の会社ではIncidentが発生した時のみポストモーテムをやっていますが、クォーター単位や大きな機能をリリースした単位で行うのが理想だと私は思います。

振り返りをしないとどうなるのか

Incidentの振り返りであれば同じ障害を何度も起こしますし、別の場所で同様のIncidentを発生させます。

Projectの振り返りであれば、スケジュールを毎回守らない人はずっと守らないままですし、何が原因でスケジュールが遅れるのか、見積もりが甘いのであればそれが精緻化される事は無くずっと同じ精度のままです。だらだらやる人はずっとだらだらやりますし、実力が足りない人はずっと実力が足りないまま進行します。
また、悪い点だけではなく良かった点も振り返らないので、そういった内容がチームで共有されずに、チームのボトムラインが上がりません。

アンチパターン

ポストモーテムではやってはいけない事が幾つかあります。ポストモーテムは、良かった点、良くなかった点を洗い出し、次同じ事が発生しないようにする、もしくは発生した時にきちんと対応できるように準備しておくための振り返りです。

今まで体験したもの、伝聞したもので良くないなと思ったものを列挙してみます。

  • そもそも振り返りをやらない(論外ですね)
  • 形だけの開催
  • 人の叱責
    • 何回も同じ事を繰り返していたら叱責する気持ちも分かるけど、それは別の場所でやってください。
  • 良くなかった点を一切議論せずに、次どうやって戦うかの話しかしていない
  • 表面的な要因を根本原因として分析してしまっている(クリティカルシンキングしましょう)
  • 改善策が根本対策ではなく、ただの精神論
  • 本質的に改善しないといけない項目を、しょうがないで片付ける
  • 1ヶ月後や長期連休の後に行う
    • とっくに忘れていて、どうでもよいマインドになっている
  • 解決策のTaskをいつまで経ってもやらない
    • そして次のポストモーテムで同じ事を列挙している

どうやって身につけるか

私はあまりビジネス書を読まないのですが、幸運にも若いときに在籍していたゲーム会社で周りの人に非常に恵まれていたため、よくあるビジネス書に書かれているような事を体現している人がそれなりに居ました。そのため、自然とそれを吸収する事で様々な考えが身に付いた気がします。

またProject兼任が多すぎて上司が片手では数えられないくらいだったので、多種多様な考えが身についたと思います。(そういう考え方の一部を社内Qiitaに公開していますが、あるタイミングでこのBlogにも転載します)

上記で挙げた記事にもありますが、何がきっかけになるかは人それぞれ。大きな障害を起こしても変わらない人は変わらないです。きっかけを与えてもそれがトリガーになるのかどうかは人それぞれなので、目くじら立てずに適度にスルーしていかないと、どんどん空しい気持ちに襲われるだけである。